【解決事例】能力不足を理由に解雇された事案につき、交渉期間1週間で解雇を撤回させ復職した事例
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記事監修者 : 茨木あさひ法律事務所
代表弁護士谷井 光
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弁護士登録後、都内の総合法律事務所で経験を積み、茨木あさひ法律事務所を創業。相続、交通事故、労働問題が得意分野。趣味は、ゴルフ、サウナ。立命館大学経営学部卒業、神戸大学法科大学院修了。
保有資格
・弁護士(大阪弁護士会所属:登録番号62348)
・宅地建物取引士

【相談前】
小売店で品出し業務を担当していたご相談者は、ある日突然会社から解雇の通告を受けました。
解雇理由は、勤務能力が不足しており、再三注意をしたにも関わらず改善がされないことでした。
解雇を撤回させて復職したいとのことでご相談いただきました。
【解決の過程と結果】
能力不足を理由とする解雇が認められるためには、一般に、以下のような事情が必要となります(東京地方裁判所平成13年8月10日判決・エース損害保険事件)。
- 労働者の雇用契約上求められている職務能力の欠如が企業から排除しなければならない程度に至っていること
- 当該能力欠如が再三の指導、教育等によっても容易に是正し難いものであること
- さらには配転等によっても当該労働者の能力を活用する余地がないこと
小売店で品出しを担当するご相談者に雇用契約上求められている職務能力は、売り場に適切に商品を陳列するという単純作業になります。
この場合の解雇相当の能力不足というのは、品出しそれ自体ができない程度を意味しますが、ご相談者は品出しは問題なく行えていました。
また、ご相談者は、同じことについて繰り返し業務上の注意を受けたことがありましたが、いずれも口頭による注意のみでした。口頭による注意では改善が期待できない場合、顛末書を書かせるなどしてより強い是正を求めることも考えられますが、そのような対応は一切されていませんでした。
さらに、ご相談者は品出し業務に限定されて採用されたわけではないため、レジ担当など別の業務に配転させることも可能でしたが、会社としてそのような解雇を回避するための努力も行われていませんでした。
以上の事情を詳細に文書にまとめ、会社宛に解雇は無効であるためその撤回と復職を求める通知文を発送しました。
すると、会社はすぐに解雇を撤回し、ご相談者の復職を認めました。
通知文発送から解雇撤回までわずか1週間でした。
【弁護士からのコメント】
能力不足を理由とする解雇は、当該労働者の雇用契約上求められている職務能力を特定し、それがどれだけ欠如しているかが重要となります。
当然、専門職など高度な職務能力を前提に採用された場合とそうでない場合とでは能力不足の程度もおのずと変わります。
本件は、ご相談者の個別の事情を丁寧に拾い出し、裁判例に基づき解雇を撤回させた成功事例です。
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記事監修者 : 茨木あさひ法律事務所
代表弁護士谷井 光
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弁護士登録後、都内の総合法律事務所で経験を積み、茨木あさひ法律事務所を創業。相続、交通事故、労働問題が得意分野。趣味は、ゴルフ、サウナ。立命館大学経営学部卒業、神戸大学法科大学院修了。
保有資格・弁護士(大阪弁護士会所属:登録番号62348)
・宅地建物取引士